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Channel: 歯科治療 テクニック – 野澤歯科医院スタッフブログ
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endo

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ホエールズの遠藤じゃありません(古すぎ?)。 endo。エンド。歯内療法の事です。え~と、根管治療もこれに含まれます。 歯の神経を取ったり、感染した歯の消毒をしたり。根の先っちょにできた膿の袋の治療なども行います。また、病気になった神経を残したり、割れた歯の治療(少々特別ですが)なんかもこの中に含まれます。

さて、今回は、、、

歯は噛むために使う組織です。噛む為には歯を支える組織がしっかりしていないとグラグラしたり、痛かったりして使えません。歯の周りが悪くなる病気の代表格が歯周炎です。 歯周炎によって歯を支える組織が破壊されると噛めなくなり、酷くなると抜歯が必要になったりします。

歯周炎には概ね2種類あります。

一つは辺縁性歯周炎。歯槽膿漏です。有名です。

もう一つが根尖性歯周炎。よく歯根嚢胞と呼ばれています。(正確には違うんですが。)

歯内療法で扱う歯周炎は大抵後者の根尖性歯周炎です。この原因は根の中の神経管に入り込んだ細菌です。細菌が多くなると神経管の出口(概ね根の先っちょ)から周囲の骨に感染病変を作ることで、根の先っちょに膿が溜まったりする歯周炎が出来ちゃいます。

治し方の理屈は簡単です。根の中の細菌を無くしてやるだけ。これだけで大抵治ります。しかし、実際に根の中の細菌を無くす。これが結構大変です。

根の中に入り込む細菌は、元々お口の中にいる細菌が殆どです。

これを除菌するので、大切なのはまずブラッシング。

A、しっかり歯磨きしてお口の中の細菌を減らします。

B、根の治療ですが、まず根にある虫歯(細菌の温床)を綺麗に取り除きます。

C、根の中を上から下に向かって消毒していきます。

この3項目が一つでも欠けるとうまくいきません。

Aの歯磨きですが、お口の中で細菌が一番多いのはプラーク(歯垢)に代表されるバクテリアのコロニーです。これは歯の周囲に大量にまとわりつきますから、ブラッシングで常にきれいにして頂く必要が有ります。プラークだらけのお口の中で治療するのは泥だらけのまな板でお刺身をさばくようなものです。そんなお刺身食べませんよね。お口全体での治療環境づくりです。

Bの虫歯ですが、患者さんが感じる虫歯の穴では無く、軟化象牙質の事です。お口の中のプラークに次いで根の入り口にできる虫歯(軟化象牙質)が細菌を多く持っています。これを取り除かない事には細菌の供給源が無くならないのです。

Cの根の中の消毒は実際の治療で一番時間が掛かるところです。A,B,と違い、細菌の住処が目に見えません。根の中は細く複雑です。消毒薬や超音波洗浄などで除菌していきます。根の中は1、2よりも細菌量が少ないのですが、取り除きづらいと言えます。

実際の治療の術式ですが、

1、麻酔

2、防湿

3、根管治療

4、仮封

となります。これは神経を取る場合も根尖性歯周炎の治療の場合も同じです。

1、麻酔ですが、これは必要ない場合も有ります。術者側とすると大抵の場合行った方がやり易いです。(やり易ければ治療作業の進捗も早いです。)

2、防湿。色々方法は有りますが、ラバーダム防湿法がよく利用されます。術野を徹底的に消毒し易い、薬液から粘膜を守り易い、落下物の防止、唾液侵入防止、術野の明示、ミラーが呼気で曇らない、等の理由で利点が多いです。単に唾液(大量の細菌)が入らないという事であれば他の方法でも可能な場合が有りますが、ラバーダムを行うとそれ以外のメリットが多いです。デメリットとしてはクランプ(留めがね)が痛い(麻酔すれば大丈夫)、追加麻酔がやりづらい、うがいがやりづらい、時間が掛かる、歯が少ないとラバーダムが飛ぶ。などが挙げられますので患者さんと御相談の上ケースバイケースで行っていきますが術者としては行いたい処です。

3、根管治療には三つのステップがあります。

①、根管拡大。虫歯を取り除いたり、神経や異物を取り除いたりしながら、根の中を消毒できるように形成します。消毒できなければ除菌が出来ません。消毒できるように根の中を形成してなければ消毒そのものが出来ませんので、根の中の治療環境づくりといった位置づけです。

②、根管洗浄。根の中を消毒します。除菌ですね。主に次亜塩素酸ナトリウム(キッチンハイターみたいなもの)で細菌を殺して洗い流します。超音波洗浄も併用しないと隅々まで消毒薬が行き渡りません。他にも薬剤は使用しますが、次亜塩素酸ナトリウムの作用を助ける為に使用するものが殆どですね。神経のカスなんかも溶解して洗い流せます。

③、根管充填。綺麗になった根の中に再び細菌が入り込まない様に栓をする事です。天然ゴムとシーラーと言うセメントが使用されます。天然ゴムはいったん細菌が付着するとコロニー形成し易いのが分かっていますので、近年はポートランドセメント(MTAセメント)が単独使用されることが増えています(海外での話)。MTAは細菌に強く、生体親和性も高いとされていますが保険診療での使用が認められていませんので、保険外診療になります。まあ天然ゴムでも汚くしなければ良いって話なのですが。

4、仮封。治療中の蓋です。これ結構重要です。(大事じゃない物はないんですが、)蓋が取れると唾液が大量に根の中に入ります。細菌も一緒にドバッと入っちゃいます。蓋が取れる事がそのまま歯内療法の失敗に繋がるのでは無いのですが(事故的に取れる事も有りますからね)、プラークコントロールの悪い患者さんの場合はリスキーな状態と言えます。治療と治療の間に細菌が中に入り込まない様にする為に、がっちり外れないような蓋が必要です。

他には外科的歯内療法なども有りますが、基本は根の中の細菌を可及的に取り除く事です。それで予後が悪い場合や、元々適応と思われる場合は外科ですね。

根管治療が終了後、歯そのものの修復(詰め物やクラウン)を行います。修復がダメ(隙間が有ったり)すると細菌の侵入経路になりますから、ガッチリ作んなきゃいけません。

まあとにかく細かい作業なんで、患者さんには分かりずらい処かもしれませんが、根管治療がまずいと後でしっぺ返しが来ますから、何言われてもキッチリ仕上げないといけないところですね。

長々と書きましたが、たまには真面目な記事もないとホントに歯医者のブログなのかいなってなりそうなので、、、医院では日常の事なので、変わった事書きたいんですが、あんまり無いんですよね。

 

 


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